最終更新日 2025年4月26日

はじめに
LPIC 300は、Linux技術者として高い専門知識と実践スキルを証明するための最上位資格です。
この記事では、LPIC 300試験の概要、試験範囲、合格に向けたポイントを初心者にもわかりやすくまとめています。
これから受験を考えている方が、無駄なく最短で準備できるよう、実践的なアドバイスとリアルな疑問への回答も交えて解説していきます。
LPIC300の合格体験記は以下の記事で紹介しているのでよかったら見てみてください!
LPIC 300とは?試験の概要をわかりやすく解説
LPIC 300は、Linuxと異種環境(Mixed Environment)の統合管理スキルを認定する専門資格です。
特にSambaやLDAPを中心とした技術領域に焦点が当たっており、企業ネットワークの設計・運用で活躍したいエンジニアに最適です。
本セクションでは以下の内容について解説します。

先輩、LPIC 300ってLPICシリーズの中でもどのくらい難しいんですか?

LPIC 3レベルの中でも300は基礎的な位置付けだけど、専門性はかなり高いよ。 特にWindows環境との連携や、認証基盤の設計・運用が問われるから、単なるコマンド操作だけでは通用しないね。

LPIC 300の位置付けと難易度
LPIC 300は、LPICレベル3認定シリーズの中で、最も実務寄りのスキルを問われる試験です。
難易度は中級~上級程度で、現場経験の有無が合否に大きく影響します。

やっぱり実務経験ないと厳しいですか?

実務経験がなくても合格はできるけど、実際のLDAPやSambaサーバの構築経験があると、理解の深さがまるで違うよ。 仮想環境でもいいから、自分で手を動かして構築練習しておくと有利だね。

受験資格と前提条件(LPIC-2保有が必要)
LPIC 300を受験するには、LPIC-2認定を取得していることが必須です。
また、LPIC-2の認定が有効期間内である必要があります。期限切れの場合、LPIC-2から再取得しなければなりません。

LPIC-2持ってないとLPIC-3の試験受けられないんですね?

そうだよ。LPICはレベル制になってるから、飛び級はできない仕組みなんだ。 だからまずはLPIC-2を取ってから、次のステップとしてLPIC 300に挑戦する流れだね。

LPIC 300の認定分野(Mixed Environment)
LPIC 300の試験範囲は「Mixed Environment」がテーマです。
LinuxとWindowsを連携させるためのSamba、LDAP、認証システム構築、ネットワーク管理が主要な出題範囲です。

LPIC 300の範囲って、どんな技術が中心なんですか?

Sambaでのドメインコントローラ設定、LDAPディレクトリサービスの設計・運用、認証連携技術が中心だね。 実務でよく出てくるケースばかりだから、覚えた内容はすぐに現場で役立つよ。
まとめ
LPIC 300は、単なるLinux操作の試験ではなく、異種環境統合の高度な設計・運用スキルを証明する資格です。
LPIC-2を取得した後、確かな実践力を備えたエンジニアにステップアップするための重要な資格と言えるでしょう。
LPIC 300 試験範囲【2025年版】
LPIC 300試験では、異種環境におけるファイル共有、認証サービス、ディレクトリ管理、セキュリティの総合的な知識が問われます。
ここでは、特に重要な5つの分野を中心に、押さえるべきポイントを整理します。
- Sambaによるファイルサーバと認証サービス
- LDAPの導入と管理
- LinuxとWindowsの統合管理
- ドメインコントローラーとしてのSambaの運用
- セキュリティ設定とトラブルシューティング
- まとめ
Sambaによるファイルサーバと認証サービス
Sambaの構築と運用は、LPIC 300試験の中心的なテーマです。
LinuxサーバをWindowsクライアントと連携させ、ファイル共有とユーザー認証を提供できるスキルが求められます。
試験範囲テーマ | 詳細内容 | 重要度 |
---|---|---|
Samba基本設定 | smb.confファイルの編集(共有設定・ユーザー管理) | ★★★★☆ |
ファイル共有 | public共有・認証付き共有の設定方法 | ★★★★☆ |
ユーザー認証 | tdbsam, LDAP, Active Directory統合による認証管理 | ★★★★★ |
アクセス制御 | 共有単位、ファイル単位(ACL)の権限設定 | ★★★★★ |
ドメイン参加 | Sambaサーバをドメインメンバーに設定する方法 | ★★★★☆ |
ドメインコントローラー構築 | Samba DC(AD互換モード)での運用 | ★★★★★ |
名前解決設定 | NetBIOS名前解決、WINSサーバ設定 | ★★★☆☆ |
クライアント設定 | Windows/Linuxクライアントからのアクセス設定 | ★★★★☆ |
サービス管理 | smbd、nmbd、winbinddの起動・停止・ステータス確認 | ★★★★☆ |
トラブルシューティング | testparm, smbclient, logファイルによる診断 | ★★★★★ |

Sambaって単にファイル共有するだけじゃないんですか?

それもあるけど、認証サービスまでカバーするのがポイントだよ。 LDAPと連携して認証ドメインを作る設定とか、Active Directoryと互換性を持たせる技術が出題されるんだ。
具体的には、smb.conf
の設定、共有設定、ユーザー管理、アクセス制御リスト(ACL)の理解が必須です。

LDAPの導入と管理
LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)は、ユーザーとグループ情報を一元管理するためのディレクトリサービスです。
LPIC 300では、OpenLDAPサーバのインストール、設定、管理に関する問題が頻出します。
試験範囲テーマ | 詳細内容 | 重要度 |
---|---|---|
LDAP基本概念 | ディレクトリサービスの仕組みと階層構造(DN, RDN, DIT) | ★★★★☆ |
OpenLDAPインストール | slapd, ldap-utils パッケージ導入と基本設定 | ★★★★☆ |
slapd.confによる設定 | レガシー設定ファイル(手動管理型)の理解 | ★★★☆☆ |
cn=configによる設定 | 動的設定方式(LDAP上で設定管理) | ★★★★★ |
スキーマ管理 | スキーマ追加・カスタマイズ(inetOrgPerson, posixAccountなど) | ★★★★☆ |
データベース管理 | エントリ追加・検索・変更・削除操作(ldapadd, ldapsearch, ldapmodify) | ★★★★★ |
認証連携設定 | NSS(nsswitch.conf)、PAM設定によるシステムログイン連携 | ★★★★★ |
アクセス制御設定 | ACL(Access Control Lists)によるアクセス制限 | ★★★★☆ |
TLS/SSL暗号化 | LDAP通信のセキュリティ強化(ldapsプロトコル設定) | ★★★★☆ |
レプリケーション設定 | Master-Slave、Multi-Masterレプリケーションの構築 | ★★★☆☆ |

LDAPって難しそうなんですけど、何を中心に勉強すればいいですか?

まずはLDAPの基本概念と、slapd.confやcn=config形式の設定方法を押さえるべきだね。 また、LDAPクライアント設定、認証連携(PAMやnsswitch.confの設定)も試験に出るよ。
スキーマの拡張や、TLSを使ったセキュリティ設定も試験範囲に含まれます。

LinuxとWindowsの統合管理
LinuxサーバとWindowsクライアントの統合運用は、Mixed Environmentの核となる技術です。
Samba、Kerberos、LDAPを組み合わせた統合認証環境の設計・実装が出題されます。
試験範囲テーマ | 詳細内容 | 重要度 |
---|---|---|
LDAP基本概念 | ディレクトリサービスの仕組みと階層構造(DN, RDN, DIT) | ★★★★☆ |
OpenLDAPインストール | slapd, ldap-utils パッケージ導入と基本設定 | ★★★★☆ |
slapd.confによる設定 | レガシー設定ファイル(手動管理型)の理解 | ★★★☆☆ |
cn=configによる設定 | 動的設定方式(LDAP上で設定管理) | ★★★★★ |
スキーマ管理 | スキーマ追加・カスタマイズ(inetOrgPerson, posixAccountなど) | ★★★★☆ |
データベース管理 | エントリ追加・検索・変更・削除操作(ldapadd, ldapsearch, ldapmodify) | ★★★★★ |
認証連携設定 | NSS(nsswitch.conf)、PAM設定によるシステムログイン連携 | ★★★★★ |
アクセス制御設定 | ACL(Access Control Lists)によるアクセス制限 | ★★★★☆ |
TLS/SSL暗号化 | LDAP通信のセキュリティ強化(ldapsプロトコル設定) | ★★★★☆ |
レプリケーション設定 | Master-Slave、Multi-Masterレプリケーションの構築 | ★★★☆☆ |

LinuxとWindowsの連携って、そんなに難しいんですか?

一つ一つはシンプルだけど、全部を組み合わせると設定ミスが起きやすいんだ。 試験では、Kerberos認証の連携とか、Winbindの設定が問われることが多いから、正確な設定手順を理解しておくことが大事だよ。
特に、WindowsのActive Directoryとの連携設定や、Kerberosチケットの取得・確認手順は重要です。

ドメインコントローラーとしてのSambaの運用
Sambaをドメインコントローラー(DC)として運用する技術も試験に出題されます。
Samba 4以降では、Active Directory互換のドメインコントローラ機能が強化されており、その設定と運用管理を理解することが求められます。
試験範囲テーマ | 詳細内容 | 重要度 |
---|---|---|
Sambaドメインコントローラー概要 | Active Directory互換DCとしてのSamba機能理解 | ★★★★★ |
Samba DCの構築手順 | samba-tool によるドメイン作成と初期設定 | ★★★★★ |
ユーザーとグループ管理 | samba-tool user / group コマンドによる管理操作 | ★★★★★ |
ドメインポリシー設定 | GPO(グループポリシー)基本設定と制御方法 | ★★★★☆ |
レプリケーション設定 | 複数DC間のデータ同期、FSMOロール管理 | ★★★★☆ |
DNS統合管理 | 内蔵DNSサーバ設定、または外部DNSサーバとの連携設定 | ★★★★☆ |
Kerberos設定 | Samba DCにおけるKerberosチケット認証運用 | ★★★★☆ |
セキュリティ設定強化 | LDAP over SSL、サイン・シール強制設定(smb.conf) | ★★★★☆ |
サービス運用管理 | smbd、nmbd、winbinddサービス管理と障害時対応 | ★★★★☆ |
トラブルシューティング | samba-tool dbcheck やログ解析による障害調査 | ★★★★★ |

SambaってWindows Serverみたいにドメインコントローラになれるんですか?

なれるよ。実際、コスト削減のためにSamba DCを採用してる企業もあるくらい。 試験では、samba-tool
コマンドでドメイン作成・ユーザー管理をする問題がよく出るから、CLI操作をしっかり練習しておこう。
FSMO(Flexible Single Master Operations)ロールの概念も理解しておくと安心です。

セキュリティ設定とトラブルシューティング
セキュリティの強化と、発生した問題へのトラブルシューティング能力は必須スキルです。
SSL/TLSによる通信暗号化、ファイアウォール設定、ログ監視、アクセス権限の設定管理など、実務的なセキュリティ知識が問われます。
試験範囲テーマ | 詳細内容 | 重要度 |
---|---|---|
通信の暗号化設定 | SMB署名(Signing)、SMB暗号化(Encryption)設定 | ★★★★☆ |
LDAP over SSL(LDAPS)設定 | 通信経路のSSL/TLS暗号化、証明書導入方法 | ★★★★☆ |
Kerberos認証のセキュリティ強化 | チケットの有効期限管理、強力な暗号方式利用 | ★★★★☆ |
Sambaサーバのセキュリティ設定 | smb.confにおけるセキュリティモード(user, domain, ads)設定 | ★★★★★ |
アクセス制御リスト(ACL)の設定 | ファイル・ディレクトリ単位の詳細な権限制御設定 | ★★★★★ |
ファイアウォール設定 | 必要ポート開放(137/138/139/445など)、不要ポート閉鎖 | ★★★★☆ |
ログ管理とモニタリング | /var/log/samba/ログ解析、auditログ活用 | ★★★★★ |
サービスの正常性確認 | smbd, nmbd, winbinddサービス状態のチェック | ★★★★☆ |
一般的な接続トラブル対処 | smbclient, testparm, wbinfoコマンドによる診断 | ★★★★★ |
認証トラブルの原因特定 | Kerberosチケット確認、LDAPバインド確認、DNS設定確認 | ★★★★★ |

トラブルシューティングって、どんな問題が出るんですか?

接続できない、認証できない、共有にアクセスできない、みたいな実際によくあるトラブルが中心だね。 ログファイル(/var/log/samba/ や /var/log/syslog)を読んで原因を特定できる力が試されるよ。
設定ミスを見抜く力や、診断ツール(testparm
、smbclient
、ldapsearch
)の使い方もマスターしておくと有利です。

まとめ
LPIC 300の試験範囲は、単なる知識問題ではなく、実際の業務に直結する高度なLinux・Windows統合技術を体系的に問う内容です。
各分野で必須となるコマンド操作や設定ファイル編集を、実機で確実に経験しておくことが合格の鍵となります。
LPIC 300試験の出題形式と合格基準
LPIC 300試験は、選択式・記述式の問題で構成され、限られた時間内に専門的なLinux運用知識を問う試験です。
このパートでは、受験前に必ず押さえておくべき出題形式、問題数、合格基準を詳しく整理します。
問題数と試験時間
LPIC 300試験は、試験時間90分、問題数はおおよそ60問前後です。
問題形式は選択問題(multiple choice)と短文記述問題(fill in the blank)が混在しています。

60問って結構多い気がするんですが、時間足りますか?

ぎりぎりだね。特に記述式があるから、単に選択肢を選ぶだけじゃなく、コマンドやパスを正確に書かなきゃいけない。 時間配分を意識して進めないと、後半焦るよ。
コマンドオプションやファイルパスのスペルミスも減点対象となるため、正確性が重要です。
出題傾向と配点比率
LPIC 300では、Samba、LDAP、統合認証、セキュリティ設定に関する出題が全体の約70%を占めます。
特にSambaのドメインコントローラー機能に関する理解が深く問われます。

やっぱりSambaが中心なんですか?

そうだね。Samba関連だけで全体の半分以上を占めるから、ここを押さえてないと合格は厳しい。 LDAPはそれに次ぐ重要範囲って感じだね。
また、問題によっては複数選択式(multiple answer)も出題され、すべて正解しないと得点にならない形式もあるため、確実な理解が求められます。

合格ラインと合格率
LPIC 300の合格ラインは、一般的に500点満点中300点以上(約60%)とされています。
ただし、試験ごとに若干の基準調整があり、常に一定ではありません。

合格率ってどれくらいなんですか?

公式には発表されてないけど、体感だと合格率は30〜40%くらいかな。 それなりに難しいけど、しっかり準備すれば十分に合格できるレベルだよ。
合格ラインは「相対評価」の要素も含まれるため、難易度が高い回は若干低めに設定されることもあります。


ゴリタン
インフラエンジニアとして、ネットワークとサーバーの運用・保守・構築・設計に幅広く携わり、
現在は大規模政府公共データの移行プロジェクトを担当。
CCNPやLPICレベル3、AWSセキュリティスペシャリストなどの資格を保有しています。