【知的財産権の理解】知的財産権/産業財産権/著作権法/不正競争防止法/トレードシークレット/限定提供データ

記事の概要

今回の記事で説明する内容

今回の記事では知的財産権のうち、IT関連の企業が知っておく必要がある以下の項目を抜粋して記載しています。

  1. 知的財産権
  2. 産業財産権
  3. 著作権法
  4. 不正競争防止法
  5. トレードシークレット
  6. 限定提供データ

知的財産権の理解の必要性

知的財産権はシステム開発を行っている会社にとって非常に重要であり、様々な形で関係してきます。
システム開発会社が知的財産権を正しく理解し管理することは、法的リスクの回避と競争力の維持に直結します。

例えば、システム開発ではオープンソースソフトウェアを利用することがよくありますが、
これらにはライセンスが付与されているため、その利用条件を順守する必要があります。
違反した場合、訴訟や賠償責任が発生する可能性があります。

システム開発会社にとって、知的財産権の適切な管理は、技術的な優位性を維持し、法的リスクを最小限に抑えるために不可欠です。また、クライアントやパートナーとの信頼関係を築く上でも、知的財産権を守る姿勢が重要となります。

ゴリタン

この記事はこんな人にオススメ

  • システム開発やSIerの企業で働いている人
  • 企業の法務部門やコンプライアンス部門などの、法令を理解して従業員や取引先が法律を遵守するよう監視し、指導する役割を担っている人
  • 情報安全確保支援士試験を受験する人

知的財産権

知的財産権の概要

簡単に言うと

知的財産権は、簡単に言うと、人々が作り出したアイデアや創作物(音楽、絵、発明、ブランドなど)を法的に守る権利です。

これにより、他人が無断でそれらを使ったり、真似したりすることを防ぎ、
作り手が自分の作品から利益を得られるようにするものです。

厳密にいうと

厳密にいうと、人間の知的活動によって生み出された創作物や発明、アイデアを法的に保護する一連の権利であり、
無形の財産を他社の不正利用や模倣から守るための法的な枠組みです。
知的財産権には、いくつかの異なる種類があり、それぞれ異なる対象を保護し、法的な手続きや保護期間が異なります。
代表的なものに、産業財産権(特許権、実用新案権など)や著作権、営業秘密などがあります。

主な種類は以下の通りです。
これらの権利を保有することで、権利者は他社が無断でそれらの創作物や技術を使用することを法的に制約し、
自らの経済的利益を守ることができます。

大項目項目内容
産業財産権特許権新しい技術や発明を独占的に使用できる権利を一定期間(通常20年)保護する。
商標権商品やサービスの名称やロゴなど、ブランドの識別標識を保護し、混同を避けるために他社の使用を制限する。
意匠権製品のデザインや形状など、外観上の創作を保護する。
著作権音楽、文学、映画、プログラムなどの創作物を保護し、創作者が無断で複製、配布されるのを防ぐ。
営業秘密公開されていない技術やビジネス情報を保護し、不正な取得や使用を防ぐ。

産業財産権の概要

簡単に言うと

産業財産権は、簡単に言うと、ビジネスに関するアイデアや発明、デザイン、ブランドを守るための法律的な権利です。
他の人が勝手にそのアイデアや成果を使ったり、真似したりするのを防ぐために設けられています。
特許、商標、デザインの保護などが含まれ、これにより、企業や個人が自分の技術やブランドを守り、利益を得られるようにします。

厳密にいうと

厳密にいうと、産業活動において生み出される技術的な発明やデザイン、ブランド名や商標などの無形財産を
法的に保護するための権利の総称です。
この権利を持つことで、他社その知的成果を無断で使用したり、模倣したりすることを防ぎ、権利者がその知的成果を
独占的に使用、利用できるようになります。

産業財産権には主に次の4つが含まれます。

権利項目説明
特許権概要新しい発明や技術アイデアを保護するための権利。
発明者は一定期間、その発明を極撰的に使用する権利を持ちます。
保護対象新しい発明や技術的アイデア。
保護期間出願日から20年間。
具体例新しいセキュリティアルゴリズムやデータベース管理技術の発明。
例えば、システム開発において画期的な暗号化技術やデータ管理方法を発明した場合、その技術は特許権によって保護されます。これにより、他社が無断でその技術を使うことを防ぎ、発明者が20年間独占的に利用できます。
実用新案権概要特許権に似ていますが、より小規模で技術的な改良や新しいアイデアを保護します。
特許よりも簡便な手続きで権利を得られ、短期間の保護が特徴です。
保護対象簡単な技術的改良や工業製品の改善。
保護期間出願日から10年。
具体例ソフトウェア開発におけるユーザインタフェースの改良や、システム運用効率を高める小規模な術の改善。
例えば、既存のIT管理ツールに小さな改良を加え、より使いやすくする新しい機能やインタフェースの改善が実用新案権で保護されます。
これにより、他社が同じ技術を無断で使用することを10年防ぎます。
意匠権概要工業製品や製品デザインの形状や外観を保護します。
他者が同じデザインを模倣して使用することを防ぎます。
保護対象製品の形状やデザイン
保護期間25年(登録日から、2020年以降の出願は25年、それ以前は20年)。
具体例アプリケーションやソフトウェアの独自なデザインや、UI/UX設計。
例えば、システム開発会社が提供するソフトウェアの画面レイアウトや操作デザインが独特で、ユーザにとって重要な要素であればそのデザインが意匠権によって保護されます。
これにより、他者がそのデザインを模倣することを25年間防ぐことができます。
商標権概要商品やサービスの名前やロゴ、シンボルを保護します。
商標権により、他者が同じ名前やログを使用して顧客を混乱させることを防ぎます。
保護対象商品やサービスの名前、ロゴ、シンボル。
保護期間10年(更新可能、更新すれば無期限)。
具体例ソフトウェア製品名や開発したシステムのブランド名、ロゴ。
例えば、システム開発企業が開発したITソリューションの名称やそのシステムのロゴデザインは商標権で保護されます。
これにより、他者が同じ名前やロゴを使って市場で混乱を引き起こすことを防ぎ、10年間(更新すれば無期限)そのブランドを保護できます。

システム開発やSIer企業にとって、特許権や実用新案権は新しい技術的なアイデアや改良を守り、
意匠権はソフトウェアやアプリケーションのデザインを保護します。
商標権は製品やサービスのブランドを守るため、競争力を高め、知的財産の保護を通じて市場での優位性を確保できます。

著作権の概要

簡単に言うと

著作権は、簡単に言うと本や音楽、映画、社員、ソフトウェアなどの創作物を守るための権利です。
これによって作者は自分の作品を他人に勝手に使われたり、コピーされたりするのを防ぎ、
自分だけがその作品を使うかどうか決めることができます。
保護期間は、作者の生きている間と死後70年まで続きます。

厳密にいうと

厳密にいうと、創作された著作物(文学、音楽、映画、ソフトウェアなど)に対して自動的に付与される法的権利であり、
その著作物を複製、配布、改変、公表、展示、演奏するなどの行為をコントロールできる独占的な権利を指します。
著作権は作品が創作された時点で自動で気に発生し、登録や届け出は不要です。

著作権は以下のように3つの権利で構成されています。

権利項目説明
財産権著作物の商業的な利用を管理するための権利であり、以下のような権利が含まれます。
複製権著作物を複製(コピー)する権利。
公衆送信権インターネットやテレビ放送を通じて、著作物を配信、放送する権利。
展示権著作物(絵画や写真など)を展示する権利。
譲渡権・貸与権著作物を販売したり、貸し出したりする権利(本やCD、ソフトウェアなど)。
翻訳権・翻案権著作物を翻訳したり、他の形式に作り変える(映画化や小説化する)権利。
人格権著作者の人格的な利益を守るための権利であり、他人が著作物を改変したり、創作者の意思に反する形で利用するのを防ぐための権利。
公表権著作物を公にするかどうかを決定する権利。
氏名表示権著作物に著作者の名前を表示するかどうかを決定する権利。
同一性保持権著作物の内容を無断で変更されたり、歪曲されたりしない権利。
著作隣接権著作隣接権は、著作物の創作者ではなく、その著作物を実演、放送、録音、配信する人の権利です。
これらの権利は、実演者や創作側が作品の利用から適切な対価を得るために重要な役割を果たします。
実演家歌手が他人の曲を歌った場合、その実演に対する以下の権利が発生します。
・実演の録音、録画の権利
・実演を放送、配信する権利。
・実演を複製する権利。
※保護期間は実演が行われた年の翌年から 70年です。
レコード製作者レコード会社が音楽を録音し、CDを制作した場合以下の権利が発生します。
・レコードの複製権や貸与権。
・公の場でその音源を使用する際の報酬を請求する権利。
※保護期間は録音が行われた年の翌年から 70年です。
放送事業者(テレビ局やラジオ局)テレビ局が番組を放送する際、その番組について以下の権利が発生します。
・番組の再放送や、インターネットでの配信をコントロールする権利。
※保護期間は放送が行われた年の翌年から 50年です。
有線放送事業者(ケーブルテレビなど)有線放送の再送信をコントロールする権利を持ちます。

著作権法の侵害に当たらないケース

システム開発会社やSIer(システムインテグレーター)に関係するという観点から、
著作権法上問題がない行為の具体例をいくつか挙げます。
これらの行為は、法律やライセンスを遵守しているため、著作権を侵害するリスクがないと考えられます。

1. オープンソースソフトウェア(OSS)のライセンスに従った使用

  • 具体例: システム開発で、MITライセンスやApacheライセンスなどのオープンソースソフトウェアを使用する場合、そのライセンスの条件(著作権表示やソースコードの公開など)を守っていれば、著作権法上の問題はありません。
  • ポイント: OSSライセンスを確認し、ライセンス条件に従った適切な使用を行うことで、商用プロジェクトに組み込んでも著作権侵害になりません。

2. 社内開発したソフトウェアの使用

  • 具体例: SIerが社内で独自に開発したソフトウェアを自社プロジェクトに使用すること。
  • ポイント: 自社で開発したソフトウェアは、著作権は開発した会社や従業員に帰属するため、その使用には著作権侵害の問題が発生しません。

3. パブリックドメインの素材の使用

  • 具体例: 著作権が消滅したプログラムやライブラリ、デザイン素材をシステム開発プロジェクトに使用すること。
  • ポイント: 著作権の保護期間が終了し、パブリックドメインに入った素材(たとえば、保護期間が満了した古いソフトウェアや画像)は、自由に使用できます。著作権法上問題はありません。

4. 著作権者から許諾を得ての利用

  • 具体例: サードパーティのソフトウェアやライブラリを使用する際、著作権者から明示的な使用許可(ライセンス)を取得してプロジェクトに組み込むこと。
  • ポイント: 著作権者から適切なライセンス契約や使用許可を得た場合、そのソフトウェアを合法的に利用することができます。

5. 自社開発の成果物の顧客への提供

  • 具体例: SIerが受託開発で作成したシステムを、契約に基づいてクライアントに納品すること。
  • ポイント: クライアントとの契約で、著作権の譲渡や使用許諾が明確にされていれば、そのシステムをクライアントに提供する行為は合法であり、著作権法に問題はありません。

6. 技術的な手法やアルゴリズムの使用

  • 具体例: システム開発で、他社が公表しているアルゴリズムや技術的手法を参考にし、それに基づいて自社で新しいコードを開発すること。
  • ポイント: アルゴリズムや技術的手法そのものは著作権の対象外であるため、他社が公開している手法をもとに自社で開発を行うことは著作権侵害にはなりません。

7. フリー素材やライセンスフリーのAPIの使用

  • 具体例: ライセンスフリーとして提供されている画像、アイコン、またはAPIを利用して、アプリケーション開発を行うこと。
  • ポイント: 著作権フリーやライセンスフリーの素材は、提供元の規定に従って利用する限り、著作権侵害のリスクはありません。

8. APIや外部サービスの利用規約に従った利用

  • 具体例: Google Maps APIやAWSのサービスを利用規約に従って使用し、自社のシステムに統合すること。
  • ポイント: APIやクラウドサービスの提供者が定める利用規約やライセンスに従って使用すれば、著作権や契約上の問題を避けることができます。

著作権の帰属

著作権法における権限の帰属について、情報技術に関連する内容を以下にまとめました。

1. 著作権の基本原則

著作権は、原則として著作物を創作した者に帰属します。つまり、システム開発やソフトウェアのコードを書いた開発者が、そのコードの著作権を持つことになります。ただし、企業やプロジェクトの契約形態により、著作権の帰属が異なる場合があります。

2. 著作権の帰属に関するポイント

著作権の帰属に関するポイントを以下3つにまとめました。

2.1. 社員が開発したソフトウェア(職務著作)

企業に雇用されている従業員が業務の一環としてソフトウェアやシステムを開発した場合、その開発された成果物の著作権は会社に帰属します。これを「職務著作」と呼び、次の要件を満たす場合に成立します。

  • 著作物が業務命令の一環として作成されている。
  • 業務遂行のために作成されたものであることが明確である。
  • 会社の設備や資源を使って作成されている。

: SIerのエンジニアが、クライアントのためにシステム設計やコードを書く場合、通常その成果物の著作権は会社に帰属します。エンジニア個人には帰属しません。

2.2. 委託開発の場合

クライアントからシステムやソフトウェアの開発を外部委託された場合、開発したソフトウェアやシステムの著作権が誰に帰属するかは契約によるため、契約内容が非常に重要です。

  • 著作権を委託先に残す契約: 著作権は開発を行った会社や開発者に残り、クライアントにはライセンスとして使用権が与えられるのみ。システム開発会社が著作権を保持することで、再利用や別のプロジェクトでの活用が可能になります。
  • 著作権をクライアントに譲渡する契約: 委託契約において著作権をクライアントに譲渡する場合、開発会社は契約で定められた対価を受け取る一方で、開発物に対する権利を全てクライアントに譲渡します。クライアントはその後、そのシステムやソフトウェアを自由に改変や再利用できます。

: クライアントがSIerに対してカスタマイズされたERPシステムの開発を依頼し、契約で「著作権はクライアントに譲渡する」と明記されていれば、そのシステムの権利は開発が完了した後クライアントに帰属します。

2.3. ライセンス契約

著作権の帰属を委託者(クライアント)に譲渡せず、使用権のみを与える形でライセンス契約を結ぶことも一般的です。この場合、システム開発会社は著作権を保持しながら、クライアントにそのソフトウェアやシステムの使用権を提供します。ライセンスの形態により、使用範囲や改変の権利が制限されることがあります。

  • 独占ライセンス: クライアントに独占的な使用権を与えるが、著作権は開発会社が保持。
  • 非独占ライセンス: クライアントに使用権を与えるが、開発会社は他のクライアントにも同じソフトウェアを提供可能。

: クラウドベースのソフトウェアを提供する場合、開発会社はシステムの著作権を保持し、クライアントに使用の権利を与えるライセンス契約を締結することが一般的です。

3. オープンソースソフトウェア(OSS)に関する権利の帰属

システム開発会社がオープンソースソフトウェアを使用して開発を行う場合、そのOSSのライセンスに従って利用する必要があります。OSSは、著作権者が特定の条件(ライセンス)で利用を許可しているソフトウェアです。

  • GPLライセンス: 改変や再配布を行う場合、同じGPLライセンスを適用する必要があります。
  • MITライセンスApacheライセンス: 比較的緩やかな条件での利用や再配布が許可されます。

4. フリーランスや個人契約での開発

個人がフリーランスとしてシステムやソフトウェアを開発する場合、著作権の帰属は契約によって決まります。契約で明示されていない場合、開発者自身が著作権を保有しますが、業務委託契約書や成果物引き渡し契約書により、クライアントに著作権を譲渡するケースも一般的です。

5. まとめ

オープンソース: OSSライセンスに従って利用し、開発物に影響を与える場合がある。

職務著作: 社員が業務で開発したシステムやソフトウェアは、企業に著作権が帰属。

委託開発: 著作権の帰属は契約次第で、クライアントに譲渡するか、開発会社が保持するかを決定。

ライセンス契約: 使用権のみをクライアントに与え、著作権は開発会社が保持。

不正競争防止法

簡単に言うと

不正競争防止法は、簡単に言うと、企業間の不正なやり方での競争を防ぐための法律です。
他者の商品を寝たり、営業秘密を盗んだり、虚偽の表示をして消費者を騙すことを禁止しています。
また、他者のブランドやデザインを悪用することや、ドメイン名を不正に取得することも禁止しています。
これにより、企業が公正に競争し、消費者が正しい情報に基づいて商品やサービスを選べるように保護しています。

厳密にいうと

厳密にいうと、企業が競争市場において不正な手段で利益を得る行為を防止し、健全な競争を維持するための法律です。
主な目的は、他者の商品やサービスの信用や利益を不当に奪う行為を規制し、知的財産権や営業秘密を保護することです。

ゴリタン

身近なものに例えると

不正競争防止法を身近なものに例えると、次のような事例が考えられます。

1. 商品やブランドの模倣(混同惹起行為)
  • : コンビニで有名ブランドのコーヒーとそっくりなデザインの安価なコーヒーが並んでいる。
    • 有名ブランドに似せたパッケージを作り、消費者に「本物かもしれない」と思わせて購入させるのは不正競争防止法違反です。
2. 営業秘密の不正取得・使用
  • : 飲食店Aの従業員が退職後、競合店Bに就職し、Aの秘伝のレシピをBに渡して使う。
    • 秘伝のレシピなどの営業秘密を持ち出し、競合店で利用することは、営業秘密の不正利用として不正競争防止法で禁止されています。
3. 虚偽の表示による誤認誘引
  • : ネットショッピングサイトで「日本製」と書かれているが、実際には海外で製造された商品。
    • 消費者が品質を信頼して購入する場合、実際と異なる原産地表示は虚偽表示として違法です。
4. ドメイン名の不正取得
  • : 有名ブランド「Nike」のドメイン名(nike-shop.com)を無関係な人が取得し、その後、Nikeに高額で売ろうとする。
    • 他社のブランド名に似たドメイン名を悪用して、混乱を招いたり、利益を得ようとするのは違法です。
5. 誇張した広告(不正な比較広告)
  • : A社が「うちの掃除機はB社の製品より3倍吸引力が強い!」と、根拠のない比較広告をする。
    • 科学的な根拠なしに競合商品と自社商品を不正に比較して、誇張した広告を出すことは、不正競争防止法で禁止されています。
6. 著名なブランドの不正利用(著名表示の不正使用)
  • 有名ブランドの名前やロゴを無断で使用し、消費者を誤解させることは、不正競争にあたります。
    • : 街の小さなカフェが、スターバックスのロゴに似たデザインを使ってお店を装飾する。

トレードシークレット

トレードシークレットは、不正競争防止法で保護されている営業秘密のことです。
不正競争防止法では、企業の重要な情報をトレードシークレットとして保護しています。
トレードシークレットは企業の競争力を維持するために必要不可欠な情報であり、
法律により不正取得や無断使用から保護されています。

トレードシークレット(営業秘密)として保護される要件

不正競争防止法では、次の3つの要件を満たす情報が営業秘密として保護されます。

要件説明
秘密管理性その情報が企業内で秘密として管理されていることが必要です。
例:パスワード保護されたデータ、秘密保持契約(NDA)を結んだ従業員のみにアクセスを許可している情報。
有用性その情報が企業にとって経済的・事業的な価値を持っていること。
つまり、企業の利益を増加させたり、競争力を高めるために有効な情報であることが必要です。
例:製品の開発技術、マーケティング戦略、顧客リスト、仕入れルート、製造プロセス。
非公知性一般的に公開されていない情報であることが必要です。
すでに公に知られている情報は営業秘密とは認められません。
例:公にアクセスできる情報ではなく、社内や特定の契約者間でのみ共有されている情報。

限定提供データ

限定提供データとは、2018年の改正不正競争防止法で新たに導入された概念で、
不特定多数には公開されずに、特定の者に対して限られた範囲で提供されるデータを指します。

具体的には、営業秘密のような厳重な秘密管理がされているわけではないが、一定の条件下で提供されるデータが
不正に取得、利用された場合に保護されるデータです。

限定提供データとして保護される要件

不正競争防止法上では、限定提供データは以下の条件を満たすデータとして定義されています。

要件説明
電磁的方式(電子データ)で管理されている事データが電子的に保存・管理されている必要があります。
例:データベースやクラウドサービスで保存されているデータ。
不特定多数には提供されていないこと。このデータは誰にでも自由にアクセスできるものではなく、限られた人や組織にしか提供されていないものです。
例:特定の顧客や取引先にのみアクセスが許可されているデータ。
取引上の対価を伴って提供されていること。データが商業的な取引の一部として提供されているものであり、無料で広く公開されているものではないこと。
例:データベースの利用権を有料で販売する場合。

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